田中角栄の誤算

田中角栄が、教育とマスコミ(ふたつの主に言葉による教化機関)の重要性について、もっとも、真剣に、考えていた政治家の一人であったことは、まちがいない。

教師と、マスコミ関係者の給与を、高額保障し、教育とマスコミの認可制度を徹底した。

その結果、私的な教育や地域のミニコミが一掃され、誰でも、全国一律に、国の精選した信頼できる質のたかい教育指導要領に基づいた教育を受け、
国の精選した信頼できる質のたかい情報に基づいたテレビ放送を視聴し、新聞をよめるようになった。


田中角栄が、高度経済成長で得た富を、おしげもなく、教育とマスコミの充実につぎ込んだのは、決して、自己の権力基盤の強化という目的のためだけではなかった。

国民を、教育とマスコミで、啓蒙しなければならないと、確信していたのだろう。
(もちろん、すべての権力者は、同じことを考える。ただ、田中角栄は、すばやく決断し、大規模に徹底して行った。)


しかし、国の認可による、教育とマスコミの寡占は、一世代あまりで、見るも無残な、両機関の劣化を、招くことになった。

啓蒙には、使命感がいる。
両機関とも、使命派と既得権安住派が抗争し、既得権安住派が、完勝した。
(80年前、帝國軍部の、皇道派と統制派の抗争に、似ている。このときも、現状肯定の統制派が完勝した。)
現在、既得権安住派が実権を握る教育とマスコミの愚蒙教育、愚蒙報道により、日本は、田中角栄の意図した啓蒙とは正反対の、無知蒙昧の大衆で溢れている。


民主党は、田中角栄の実行した、教育とマスコミ対策が、今も、成功しつづけているという仮説のもとに、教育とマスコミの全面的な支援をうけ、勝ち上がってきた政党だ。

総仕上げが、子供手当てと、地デジ普及なのだろうが、現実との乖離を、もう、隠すことはできない。